未定。４　　　　　副会長です。２






「え？」

「隠してるでしょ？」

「いや……先輩？」

「ん？　否定はしないよ？　よくわかったね。今まで見破ったの昔からの友達だけだったからびっくりしたんだよ。で……」


何を隠してるの？と素敵な笑顔で言い放つ先輩はほんとに逆らえない雰囲気を持っていて…


「い、いや、隠してませんよ？」

「ほんとに？じゃあ、眼鏡外してみて」

「それは……姉貴が……」

「お姉さん？」


先輩の声を遠く聞きながら、今朝早くに叩き起こされたことを思い出す。
サク！あんた、変装していきなさい。そう5時前に叩き起こされ返事もまともに返せないまま気づいたら、今の格好になっていた。灰色だった目はカラコンで黒に、白金色だった髪は黒のヅラを被っている。しかも、ヅラは前髪が長くて目がちゃんと見えないし、その上黒フレームの眼鏡をかけているから余計にわからない。制服は真面目スタイルに合わせてきっちり着込んで着崩していない。
よし。いろいろもったいない気がするけど、完璧。完璧な変装受け！とやりきった顔の姉貴を見た瞬間、反論を諦めた。付け足し程度に人前で変装とるなよと言われ、姉貴に逆らえるはずもなくそのままの格好でタクシーに乗り込んだ。さすがに息苦しいから頼み込んで一番上のボタンを開けさせてもらった。


「……や。咲弥」


今朝の出来事を思い出していたおかげで反応が遅れた。目の前にいた河野先輩の手が伸びたかと思うと素早く眼鏡を外される。


「……！　返せ！」

「嫌だと言ったら？」

「ふざけんっ……！」


続けようとした言葉は突然塞がれたせいで繋げることができなかった。目の前には河野先輩のアップ。アップどころかドアップ？いやー、アップになっても耐えられるというのは美形ってすげぇ。って、違うだろ！俺の口を塞いだものは河野先輩の口だった。マウストゥマウス。って、キ、キスー！？